皐月と五月

昔をヒントに伝聞形式で書いてみる。

皐月-
目を閉じると色々考えます。もう一度整理して〈思い〉や〈考え〉を言葉にして下さい。「分らない」では私も解からない。感情は大事だが私を納得させるには不十分。感情で解かり合えるのなら言葉は要らん。もっと必死になれ、「ごめんね」が早過ぎる、貴女が口にしてはいけない。貴女の言う事を否定したのは、そうして欲しくない感情だったから。この感情を言葉にしなかったと気付いたから、また言葉を綴る。真剣になれ、「好きなの」と言ったあの日あの時ほどの必死な感情が、今日には伝わってこなかった。最後に必死さも無くなった、この短期間で十分だったとは悔しいね、悔しいだけです。

五月-
昨日もそうでしたが、少し感情的になっています、でも話そうとした大事なことは言ったつもりです。私が気持ちに気付いた以上、貴方に甘えることは出来ない。これは間違っていないと思います。昨日、貴方は「振り出しに戻った」と言いました。私はそのつもりです。でも、この期間で私になりに考え思ったこと、貴方が教えてくれた事は、沢山あります。今も力になってくれると思っています。私には難しかったのかも、貴方の愛情が。もっと食事や買物や行楽したかった。人にはいろんな付き合い方があるので、どれが正しいなんていえないけど、私はこんな風に過ごす時間も欲しかった。貴方が言った「孤独を愛する」という事。私にとって、私にはとても難しい。未だに「好きな人には頼っていい、何が悪い？」と考える事がある。まだ時間を掛けて考えてみる、貴方に言われたとおり「同じ過去を繰り返し」にはしたくないから。貴方みたいに上手く言葉に出来たら良いのに、上手く伝えられないよ。

皐月-
昨夜の「一人になって考える」と決心した貴方の気持ちを汲むけれど、この言葉もどうなのだろう。状況を変えた処で自分を変えられる人間は余程意志の強い者か本物の決意がある者だけです。昨夜から貴女と話して、貴女が出来る人とは、私は思えません。言葉を上回る意志が伝わらなかった。貴女の周りの意見を参考にするのは結構ですが、意見を取り入れるべきか、そうではないのかの区別と判断が、貴女は出来ますか？貴女なりに考えず、貴女は鵜呑みにし易いと、私は知っている。漸く私は貴女を愛する事が分り掛けていた、生易しい事じゃないね。甘えは甘えでしかなく愛情じゃない。この間違いを犯しながら幾年を乗り越える人達こそ、二人の間だけの真の情、を手に入れるんだろう。貴女に言ってしまうと今も「力になってくれる」と思っているならば今後も同じ過去の繰り返しだろう。私は、貴女だからキツイい言葉を使ってきたけれど。これから先の貴女の姿が見えたようで残念です。貴女が「今の私が本当の私」と思っているのが、とても残念です。私は、よく意地悪を言って、君の気持ちを弄んだけれど、貴女はこの付き合い全部を弄んだかも知れない。お互いの情を弄んだ、と私に思われても仕方ない。私の中では全く納得出来ていないので、ここまでにします。君は真剣さが足りない、僕は思いやりが足りない。

五月-
「一人になって考える」のは、自分を変えようとしている訳じゃない、私の気持ち、本当の気持ちと向き合いたいから。だから弄んだつもりは無い。誰かの考えを鵜呑みにしている訳じゃない、私なりに一生懸命考えているのに、どうして解かって貰えないのか残念です。「君には真剣さが足りない」と言いましたが、私なりに真剣に愛していました。結果こうなってしまったので、貴方が弄んだと思われても仕方ないのでしょうか。「自分を変えることは難しい」です。こんな愛し方しか私は出来ない。だから、これから私なりに愛してみようと思う、後悔の無い様に。貴方のように強くなれない。私は私の気持ちを抑えられない。だから今は、一人になる時間が必要なんです。

皐月-これまで二度も私に「ごめんなさい」と言う事態を起こした貴女なんだから、今回、私の言い分を聞くのは当然です。子どもは嫌いだ。
五月-まだ教えて貰いたい、教えてくれますか？
皐月-それは感心だが、しかし節操ないな。普通なら、もう少し日にちを置くものでしょう、配慮の欠如は相変わらずですね。
五月-本当に考えのない奴で、すいません。
皐月-結構です、今に始まった事じゃない。貴女の事は手に取るように分かる。
五月-頑張ってみます、自分が何処まで出来るのか挑戦してみたい。一人の時間を上手く過ごす為にも必要なんです。
皐月- 一時の決意にならぬ様祈ります。継続できない者は力に出来ない。気晴らし程度で続ける気なら難しい。
五月-頑張ってみようとしてる私に、また厳しい言葉ですね。意地でも続けてやります。
皐月-当然です。私に分がある。甘い貴女には厳しい位が丁度良い。因みに意地でやるものじゃない、やりたくてやるものだ、純粋にやれ。
五月-やりたいから「続ける」と言っています。貴方が言わせるのよ。何を言っても怒られるばかり。
皐月-怒ってない、気持ちを確かめる為だ。これまでを思い返して独りの夜を紛らわせなさい。
五月-私を挑発しないで。
皐月-挑発じゃない、最後にからかっているだけです。あとは貴女次第です、結果は分かります。