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Morishita Kurumi / 森下 くるみ 引退への感想

LAST LEGEND 森下くるみAV引退記念プレミアムBOX通常版 - 森下くるみ が発売されたようだ。

結局、引退に際する撮り下ろしが無いそうだ。もう本人が嫌なのだろうけれど、最後に今の彼女が魅せる実録妖艶シーンがあれば、恐らく AV史上の伝説になっただろう。しかし多くの伝説的女優がいらっしゃるが視聴者毎の好みが強く現れるジャンルなので、業界上の伝説と云うものは、個人にとって伝説と記憶付けられるのか曖昧な気がしている。
JAV (Japan Adult Video, is the Japan porn industrial)には人間模様がある。どんな駄作にも人間が関わっているからだ。
ロクでもない人間はいる。ロクでもない事情に悩まされロクでもない環境に陥る人間も居る。他面、こういう業界にあって穏やかであろうとする人もいる。
画面に流れる濡れ場より制作背景と携わる人達の素性を伺う方へ視点を向けると、AVは消耗品でも抜き道具でもなく、制作側の彼ら彼女らの生きた足跡になる。引退を惜しまれる女優も居れば、称賛される女優もいる。AVという仕事への情熱や信念を、迷った末に失い引退する女優の場合は潔さよりも哀しさが漂う。森下は大女優の域に達する手前で本来の自分を得ていたようで別所で見せる才能(文才)が、これまでのファンを慰め、これからのファンへの支持を集めた、と解釈している。森下作品をほぼ観ていると彼女の成長が判る。ウブと言われた初期では涙を見れるし、素直さも冷めた面も観られた。特にTJ監督が再起に用いた青い性欲、同監督 妹・M少女は監督との信頼関係や親密さを非常にエロティックに感じられた。AV の劇中にあって、女性像を見ることは少なくない。一瞬恋してしまう感覚もあれば、愛でたい感覚にも陥る。こういった衝動こそ、同年代や中高年のファンを掴んだ理由かと思う。劇中の彼女はどこか不器用で何もかも素直だった。容姿じゃなく振舞いが記憶に残っている。

こうして面倒見た監督らの影響で、年数を重ねる毎に女性らしさと希薄だった自分を手に入れたように思える。近年、長らく引退状態だった森下がここまでAV業界に在籍していた理由もまた森下と周辺関係との事情を匂わせる。後期の事情から森下の引退は惜しくも哀しい出来事として捉えられる。

大勢の女優、若い女性たちの活躍と引退を見てきた。業界を恨む女優は目立たずして勝手に去っている。しかし、この世界から離別し今後一切関係しない覚悟を決めた人間には少なからず哀愁がある。元AV女優が汚点になる訳では無いのに、場を去っていく人間達に共通する淋しさとは何か。女優の一時期を心と体を通して体感した男性が想う、仮想性交恋愛の入り口に立つAV女優の引退は、女優が男性への想いを徐々に失っていくような、「他に好きな人が出来た」と言われるような、狂おしさを伴わない離別感にあるような、事情を知ってやむを得ず別離するような現実染みた仕方の無さ、などの喪失感が淋しさや哀愁を持つと考えてみる。また子供の頃からテレビで観た著名人が亡くなっていく時の喪失感も。生きている間に知る人物とは必ず別れる瞬間がある。「所詮AV如きに」と言われるだろう、「そう言わずに」とする人もいる。引退を知ることで過去の自分が彼女らに囚われた感情や与えた感情の一部を失うことも多分喪失感の一つに数えられるのだと考えた。

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