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Hesher - メタルヘッド

次回バットマンに出演するジョセフ・ゴードン=レヴィット準主演の Hesher は良かった。
この人が、ジョセフ・ゴードン=レヴィット/ Joseph Gordon-Levitt

あまーい!

IMDb Photo by Kevin Winter – © 2011 Getty Images
IMDb other photos http://www.imdb.com/media/rm1753711872/nm0330687
gettyimages other photos gettyimages.com - Joseph Gordon-Levitt

MPG(movie photo gallery).com
MPG other photos http://www.moviephotogallery.com/k-hesher-1193.htm

Official Trailer


ジョセフ・ゴードン=レヴィット/ Joseph Gordon-Levitt が関係するサイト
http://hitrecord.org/
http://hitrecord.tumblr.com/

続きは感想(ネタバレ含みます)です。



レッカー車が事故廃車を牽引している。無謀にも自転車で追いかける少年。必死のあまり轢かれそうになりながらも工場まで辿りつき、事故車に乗り込んで意固地になる。母親を亡くし消沈する父、僻む少年、長閑な ばーちゃん一家に悪態ついた処で出遭ってしまった Hesher という、どうしようもない男が居座り・・・。

多感な時期に母親の死、そこに無茶苦茶なヘッシャーが介入し、少年の現況が大きく変わる。自分の気持ちに整理が付かないまま、時折荒れた気持ちを発散する少年は卑屈に正しくあろうとするが、精神安定剤でダウナーな父親の説教にはブチ切れ気味で暢気なばーちゃんは相手にせず、レジパートのおねいさんに惹かれて男らしくあろうとするけど、訳わかんないヘッシャーに結局ブチ壊され喚き沈む。身近な人達のトンでもなく駄目な面を見ては、子供っぽく反抗し態度を荒げる。不運が降り掛かるばかりの中、嘆くことなく少年は少年たる意地を張り通す。よく解らないまま気持ちだけで走りまくった末に疲れ果て、あの事故車輌が運び込まれたスクラップ工場に忍び見つけ出し、車内で思い出を甦らせて、ついに泣いてしまう。

なんだか、とても思春期の感傷が甦る進行だった。
少年が超えられない領域を、ズカズカ進み拓くヘッシャー。自分で解決したくてもブチ当たる局面で、いつもヘッシャーが現れる。自分を助ける為じゃない、奴はやりたいようにやっている、これが腹立たしい。「もう!なんなんだよ!」と返す少年。そんなヘッシャーが、ついに「助けにきたんだ」と言ってくれるがこれも少年にとっては理解に苦しむ好意でしかなかった。
役者がこぞって出演志望したがった才能ある監督のメジャー処女作らしい。お涙頂戴シーンはあれど、笑いを誘う荒んだ行動や直前まで気に障る行動を取るヘッシャーは、ウッカリすると凡庸なヒューマンドラマに成りがちな進行に転換を与える。轢き飛ばされても泣かない少年なら此れは喜劇だ。なんともイジメ甲斐のある少年だ。ヘッシャーは悉く同情を誘うシークエンスをブチ壊す。観るほうは唖然とするだろう。そして、この妙が 辛うじて精神を保つ不安定な少年 の存在を惹き立てる。
実は大して魅せるシーンは無い。どんな良い俳優を使っても下手すりゃ(劇中の少年と同じく)凡庸になりそうだ。出演作続きのナタリー・ポートマンが、ちょっと可愛いけど普通のシケたおねいさん役だもの。それにヘッシャーも行動は滅茶苦茶だが、体格は細身でダチに頼んだチンケなタトゥー、ひ弱なメタラーだ。アメリカンマッチョの巨漢相手には到底敵うまい。アクション映画張りのブっ飛んだ暴れキャラじゃない。しかし全体的に纏まりと丁寧さがある。押し付けがましくなく観客の感情を煽り過ぎない。観ている人に委ねながら、ちゃんとお世話してくれる収まりの良さがある。
妙な邦タイトル(だってメタルヘッドだよ?恥ずかしいだろ)に期待せず観たが意外にも大当たりで満足。ずっと若い頃に観ていたら、きっと暫くは マイベストに挙げる程の映画になっただろう。

もう一つ、とても大事な要因がある。少年の心理動向が十分響いたが、そうさせた理由はヘッシャーだ。ジョセフ・ゴードン=レヴィット演じるヘッシャーは、今では高い知名度を誇る メタリカ - METALLICA のベーシストであった クリフ・バートン に似ていたのだ。いや、初めからそう思った訳じゃない。彼の(右から見た)横顔に、どうも思い当たる節があり、そう思い当たりながら彼が運転する際のカットで漸く「なんかクリフに似てるなぁ」と(※ソックリって意味じゃない)。 これに気付いた時点で、モンスターバンドになる前のリアルタイムファンとしては感動もんですよ。おまけに、Metallica の初期作から選曲(ほぼクリフ生前期)だ。ヘッシャーが居座るガレージから聞こえるギター音は、彼の勝手な面を意味するシーンだが、その旋律はクリフ・バートンのソロ~ Anesthesia - Pulling Teeth だ。奇妙である。だって、ギターなのにイキナリぼろり弾き出すメロディがベースソロ楽曲なんですよ。監督の意図通り、どんどんクリフに見えてくる。生前のクリフ・バートンを懐かしむ感傷がフツフツと湧き上がる中、未熟な少年の心情行動が並んでくると、どうしたって話を先読みするような警戒心を解かざるを得ない。ストーリーが進むにつれてジワジワと効いてくる。初期のメタリカファンなら、一般の人とは違う感情移入があり、違う観方になった訳。
自宅不法侵入で突然現れるヘッシャーの登場シーンには、4作目の...and Justice より The Shortest Straw のイントロリフが使用されたせいで、クリフに直結する伏線を得なかった。(ジャスティスの音色とパンテラ染みたブレイクカッティングリフは考えると合っている)劇中ヘッシャーが車内で流す楽曲はクリフ生前のもので、左座席で運転するレヴィットを右からカメラが捉える。クリフを思い出させるアングルでクリフが関わった曲が流れる。一方、MORTERHEADのドラムに合わせ、ハンドルをババン!と叩くシーンは真横だ。何ともニクい手法だ。
選曲した楽曲はロクデナシのヘッシャーによく合っていた。当時のスラッシュメタルバンドはメイクまで施す派手に飾ったヘビーメタルファッションと真逆で、小汚いスラッシーな格好をしていた。とにかく長髪で無精な装い、そこいらのメタルファンが楽器を持ってステージに立ってるみたいな、でも「俺はやるぜ」みたいな男らしさの演出があった。こんなダラシナイ装いが映画では性格に反映されたのか、ヘッシャーは粗野な男だ。この粗野っぷりは初期メタリカで浮いていたデイヴ・ムステインであり、ハッパ決めてラリったクリフのような、そういう投影なのか。
当時はかなり斬新で過激な曲だと思ったが、今となっては青臭さが聴き取れる。これは当時のメタリカ自身にあった若々しさ、この勢いが表れたからだろう。今現在(これからも)メタリカらに影響されたバンドプレイヤーは多数存在する。多様性溢れる今の音楽シーンにあって「メタルは進化を拒んだ」なんて言われるが、ちゃんと時代は流れていた。かつてファンであり、今はプロで活躍するプレイヤー達の功績がメタリカを、ちゃんと過去のものにしようとしている。正しい時代の流れだ。しかし、よくメタリカ側が許可したな~と思っていた。まぁ監督がファンで既にバンド側と交流があり、通常の契約交渉で許可もらったんだ、と思っていたら

メタリカが映画『メタルヘッド』に楽曲を異例提供した理由 - ORICON STYLE(05/6.2011)
http://www.oricon.co.jp/news/movie/88459/full/
「レヴィットの役作りに感動したメンバーが、同作への全面的な支持と協力を表明」(上記抜粋)

とあった(日本向けの良い話過ぎて首傾げる記事だ)が。しかしバンド側も、レヴィットにクリフを思い浮かべたのなら、マンザラでもない。

こうして、スラッシャーたる長髪と髭面で、フラフラ奇行に走るレヴィットに、亡きクリフ・バートンの面影を見たのが、この映画最大の収穫であり、トラップだった。ベルボトムで決めたら良かった位、ソックリに見えた(劇中にはそぐわない格好だが)。監督が意図する映画である以上、このクリフの暗示や遊び心あるシーンは前以って用意されたものだが、手法にワザとらしさは無かったと思う。寝技で攻めて、相手に悟らせる戦法を採るタイプの監督。次作観たいですね。
では、クリフの映像資料。

欧米の名立たるメタルバンド連中に愛された若者

実際レヴィットとは似てないが確かに面影がある。
1980年代は映像、写真とも僅かだったが、それでもレヴィットに面影を感じる。

ベースソロでここまで聴かせるメタルベーシストは居なかった。

メタルバンドはピック弾きが当然だったが、彼は指弾きなのよねw
リズムと合わないヘッドバンキング(頭振り)は超特異。これにメンバーが勘違いして
ライブ演奏中にリズム狂わしたとかなんとか。

Cliff 'Em All,over

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