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Draemon the movie

ドラえもん映画の話。

GW前にネットニュースで知った「ドラえもん、過去アニメエピソード中の不適切なシーンを改善しDVD」なる報道。早速、該当するエピソードを動画共有サイトで探してみて確認した処、「あーあwこりゃアカンでしょw」というものでした。
そこから一転、「そういや映画見てないなぁ」

なにせ国家級認知度を誇る長寿漫画&アニメ、僕みたいな中年だって、僕より年輩の人だって、老人だって、もう亡くなった世代でも知っていた。

そうして、子供の頃から親しんだドラえもんの映画作品に絞った観賞を思い付く。
「さて、どれを観ようか」とネット上の評価を当たってみる。今でも名作と言われるものを観てみたい。以下のタイトルが挙がってきた。
  • Doraemon: Nobita's Dinosaur
  • Doraemon: The Record of Nobita: Spaceblazer
  • Doraemon: Nobita and the Castle of the Undersea Devil
  • Doraemon: Nobita's Great Adventure into the Underworld
  • Doraemon: Nobita and the Steel Troops

なんと初期作品ばかりだ。年齢的に 90年代から 2000年代の作品は全く未視聴である。このラインナップだと、2000年代のリメイクも含まれるので比較観賞が楽しめる。観始める前にアマゾンや2ちゃんぬる等で様々な視聴感想に目を通してみた。皆さん中々手厳しい。





一連のドラえもん映画は自分の年頃に合った時期の作品しか観ていない。館内で観たのは第2作目だけなのだが幼児や低学年が多く、少年からしても「うわ~ちっさい子が多いや」と思った。オープニングテーマが流れると園児の大合唱が始まり、「何なん?!映画館で歌うなんて恥ずかしいよ」と赤面した記憶がある。劇場で見る初めてのドラえもん、映画ならではの仕上げと内容への手応えがホンノリ残っている Spaceblazer から観る。布団下の畳裏と遠く離れた別銀河の宇宙船倉庫扉とが繋がる発想は今でも凄い。ロップル君達の好意と支持、そして友情。仇に似せた相手を狙うロップル君、射撃が得意なのび太が後ろから彼の肩を保持し照準を補正、見事に仇役の額へ命中させる。このシーンはよく覚えており見せ場だと記憶していたのだが、一瞬のシーンだった。懐かしもあり、久し振りのドラえもん映画は予想以上に面白かった。テレビ放映では毎度ダメ少年 のび太だが、この映画では特技を活かして頼もしい。これもあって「シリーズ中、一番好きだった」ことを今回思い出した。
宇宙開拓史1981~公式サイト http://dora-movie.com/film_history/history_2.html
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK

このリメイクを観てみる。「流石今時の仕上がりで良いね~・・・ん?」随分と設定が違うではないか。ロップル君の立場が薄い。変な女の子キャラが彼の立場を奪っている。おまけに残念なくらい台詞が棒読みに近い。この場違いなキャラが一気に興醒めを呼ぶ。この不要なキャラ一人の為に旧作の見せ場が悉く意味を失くしていた。相手の強さを見極めた のび太が一発の勝負に出て勝つだけの平凡改変・・・愕然としてしまった(※原作では1対1、リメイクの方が原作に忠実なのだが、旧作のアレンジは射撃が上手くなかったロップル君だと知っていた のび太が咄嗟に取った気配りで、これが凄く格好良かった)。近年の著名なアニメーターさんを集めたであろう絵柄には概ね満足だが、まず線の太さにビックリして「なんだこりゃ」と呟いてしまう。慣れれば納得のいくタッチで成程、動かせ方は丁寧で安心して見られるレベルだ。しかし不要キャラのせいでラストの別れは大して淋しくもなく、のび太とドラえもんを泣かせてみた所で何もかもが白々しい。この取って付けただけの感動演出にも愕然としてしまった。今後リメイク作品は覚悟して観ることにする・・。
宇宙開拓史2009~公式サイト http://www.dora-movie.com/film_history/history_29.html
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK
更に詳しいレビューはコチラ
MiSTTiMES Blog|映画「ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史」感想
http://misttimes.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-d487.html


リメイク Nobita and the New Steel Troops のレビューを見ると賛否が賛辞に振れている。多くのドラえもん映画が不満続き中、このリメイク作品だけ評価は良いので観る事にした。観てみないと何も言えないので渦中に飛び込んでみよう。まず初見となる旧作を観る。リメイクに対する不満を纏めた記事にあった比較検討と、旧作が内包するテーマと解釈の説明を予め閲覧したので、これを確認する観方になったが、これは結構な秀作だ。
鉄人兵団1986~公式サイトhttp://www.dora-movie.com/film_history/history_7.html
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK

覚悟してリメイクを観た。警戒心から脚本や演出ばかりに目が行く・・・がコレは良いリメイクだ。残念な Spaceblazer が耐性付けてくれたのか、時に煩いほど力強い線画だが、これはクセになる。この線画、この動きは素晴らしい。酷な要素を排除した点も考え様によってはプラス、旧作もリメイクも評価できる仕上がりになっている。この作品の制作スタッフ陣で今後も取り組んで欲しいし、また観たい制作陣だ。
鉄人兵団2011~公式サイトhttp://doraeiga.com/2011/
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK


Castle of the Undersea Devil これは当時、毎月の購入を待ち遠しく思ったコロコロコミック連載作品。視聴しながら連載時の各コマが思い出される。24時間で効果の切れる道具の力を借りて深海ツアー、水中生活を楽しむには道具の効き目を忘れてはいけない。後半は古えの残骸、報復戦略システムの暴走を止めに行くアドベンチャー。絵柄の古さはあるけれどテーマは当時を反映したものになっている。後日”ドラえもんを見たよ”と調子に乗って喋った処、この作品には興味を持たれる方がいらっしゃった。私の下手な喋りでも「面白そう」と思わせる概要を備えている話だが、前半のんびり、後半は駆け足、と配分がギコチない。深海の描き込みや視覚効果、テーマの尊重、海底帝国の設定をもっと詰めれば壮大な映画。1時間36分の尺では描き切れないだろう、そんな感じがモロに出ている。海底世界の描画、ハード&シリアスアレンジなど拡大追求が成されるのら、必ず結構な大作になる。
海底鬼岩城1983~公式サイトhttp://www.dora-movie.com/film_history/history_4.html
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK


改めて、旧 Nobita's Great Adventure into the Underworld の良さを知る。「もしも魔法が~世界」を実現させることで、その世界で起ころうとする人類の危機を回避する要になる のび太たち。悪魔星へ突入後、城に着くまでのクダリは正に大冒険。古さは脳内補完でイケる。特に美夜子猫バージョンのモデリング&モーションは完成度高い。ついつい飼ってた猫との回想に耽ってしまい、我に返って数回ほどシークを戻して観賞した。それ位愛らしく思えたキャラ。リメイクは冒険要素を省き、何故か のび太と美夜子とのロマンスに仕立てたらしい(阿呆臭)。察しが付く、大変残念だがリメイクは観ないことにした。
魔界大冒険1984~公式サイトhttp://www.dora-movie.com/film_history/history_5.html
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK


この視聴感想を話した処、「 Nobita's Dinosaur 2006 も是非!」と推薦されたので初作に触れる。大まかなあらすじは記憶にあったので観る気にはなれなかったのだが、旧作を視聴。世界観の設定で疑問を持つ点が幾つかあったので、調べてみると連載原作での意外と大事なシーンはカット(スルー)されているようだ。それでも北米から後(のち)の日本列島が出来る場所までの途轍もない大移動、当時注目を得ていた恐竜、時間旅行の醍醐味や法令規則、いま観直すと映画初作として非常に出来が良いと満足した。未来を代表する機械、タイムマシーンが壊れてしまうことで起きる恐ろしい事象、見慣れない立身状態でのタケコプター上昇、この姿勢での飛翔が美しいと感じる背景。要所にボールを用いた末のラストシーンは特に良かった。素晴らしい。
のび太の恐竜1981~公式サイトhttp://www.dora-movie.com/film_history/history_1.html
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK

リメイクは、このラストシーンの改悪にクレームが付いていた。覚悟してみよう。早々に不満を覚えた。しかも、これまでのリメイク以上の不愉快感、、、。 ディズニー(OP、恐竜ハンターの動き)、ジュラシックパーク(のあの場面)を意識してるね。声優/設定補足/背景は大満足。しかし金も人も盛った割にはタイムパトロールの扱い、全アクションの過剰演出、ラスト全キャラの馬鹿みたいな大泣きは大変疑問。特にキャラの余計な動きは動画制作人の個性が露骨過ぎて酷く食傷。気になる。ホーホケキョはホーホケキョで結構だが、ドラえもんでやられると只のクラゲ動画でしょ。なんという粗末なジブリ効果、観ながら「遊び過ぎだろが」と吐き捨ててしまった。
旧作にある "一緒に遊んだボールを手に取り、記憶を振り返った後、悦に抱き締め寝りに就く のび太" のシーン。心の豊かさを得る原作のこのラストシーンは切り捨てないで欲しかったなぁ。欧米圏公開でも無いのにハリウッド意識したようなジェットコースタームービー、4人と1台で全共有させ、見せ付けるスケールは大きいのに、逐一やる事がセコい。旧作の名シーンは個々に違うだろうけれど、この2006は「悉くブチ壊された」気になってしまう。一体なぜなんだ?作ったアンタ達こそ ドラえもんとその作者のことを解って描けるんじゃないの?これが「意欲的」と評価されることに甚だ疑問は尽きない。
のび太の恐竜2006~公式サイトhttp://www.dora-movie.com/film_history/history_26.html
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK

こうなると、残念ながら Remake "New Steel Troops" は奇跡としか言い様がない。女性キャラパートで印象的な黒い微笑み顔、「いま天使になってるわ」台詞の削除が目に付いても素晴らしい出来栄えだ。「いい大人がグダグダと」じゃなく今日では子供から大人まで知られ評価される「ドラえもん」なのだから我侭を言わせて貰うと、「新しい手法や超絶技巧を取り入れるのは大歓迎だが、人的特色や大人の事情を組み込むには十二分に熟慮されたし」。冒険は観る側にさせて欲しい。80年代作品は今でも楽しめる。不評なリメイクは再度リメイクしていいでしょ? 「アレは無かったこと」に出来る/されるんだし。各リメイクには、力を入れていると解るけれど、ドラえもんを見る子供とその親に媚びる必要があり、その為にタレントの声優枠を稼ぐ為の余計なキャラを付け足し、これを可能にする聞き分けの良い人選へ発注し、そのせいで例え原作漫画へ忠実たる姿勢を見せても結局これらの良さを損なわせ綺麗事で済ませる事が結果的に興行商業上の数字的成功に収まり尚且つ大変重要なのだとしたら、あの天災が無くても 新鉄人兵団 は興行的に失敗だったんだろうね。

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